愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」の中止を受け、芸術祭実行委員会の会長を務める大村秀章・愛知県知事は23日、展示中止となった作家や海外のジャーナリストを招き、10月に「表現の自由に関する国際フォーラム」(仮称)を開くことを明らかにした。
大村知事は20日付でトリエンナーレ参加作家あてに書簡を出し、企画展中止を巡る混乱について陳謝。10月のフォーラムで、表現の自由をめぐる世界各地の現状について議論し、表現の自由を世界にアピールする「あいち宣言」を提案したいとして協力を求めた。「あいちトリエンナーレでの出来事を、表現の自由に関するメッセージを世界に届ける機会にしたい」としている。
愛知県は企画展中止を検証する有識者委員会を設置しており、9月に国内での展示中止の事例の背景を探り、県民や作家らと語り合う「表現の自由に関する公開フォーラム」(仮称)を開く予定。(岩尾真宏)
日本人作家が展示変更
愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」が中止されたことを受け、トリエンナーレ参加作家の田中功起氏(43)が23日、展示の変更を表明した。日本人作家の展示変更は初めて。
田中氏は愛知芸術文化センター(名古屋市東区)の会場に「抽象・家族」と題する映像作品や抽象画などを展示しており、展示スペースは同センターで最大。9月3日から展示室に立ち入れなくし、イベントを開く日以外は、扉から鑑賞する形にする。
企画展「表現の不自由展・その後」を巡っては、海外作家らが展示再開を求める連名の書簡を発表し、20日に8人が展示室を閉鎖したり、展示内容を変更したりしている。田中氏も書簡に賛同しており、企画展が再開されない状況を「『安全性』の名の下に、時間稼ぎをしているように見える」と指摘した。(江向彩也夏)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル